伊藤詩織監督作『Black Box Diaries』日本初上映会 報告

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日時:2024年7月11日(木)18:00~20:35
会場:東京⼤学本郷キャンパス 情報学環・ダイワユビキタス学術研究館3階 ⼤和ハウス⽯橋信夫記念ホール
主催:メディア表現とダイバーシティを抜本的に検討する会(MeDi)・東京⼤学大学院⽥中東⼦研究室・JSPS科学研究費助成事業基盤研究(B)「新興テクノロジーとジェンダー不正義をめぐる社会的課題の抽出と解決に向けた研究」(24K03195、代表:田中東子)

2024年7月11日(木)、ダイワユビキタス学術研究館にて、メディア表現とダイバーシティを抜本的に検討する会(MeDi)と東京大学大学院田中東子研究室(JSPS科学研究費助成事業(24K03195))との合同で、映像ジャーナリストの伊藤詩織さんによる初監督映画『Black Box Diaries』の日本初上映会が開催されました。

本作品は、2017年に伊藤さん自身が元テレビ局員記者から受けた性暴力被害を訴えた記者会見後の経験を記録したドキュメンタリー映画で、最も権威のある映画祭の1つであるサンダンス映画祭の国際長編ドキュメンタリーコンペティション部門に出品されたものです。会場には約100名の東京大学関係者やメディア関係者が集まりました。

映画では、被害後の伊藤さん自身の経験だけでなく、性暴力が犯罪として認められにくい日本の法制度の状況や、性暴力を容認するようなメディア文化について描かれています。性暴力サバイバーとしての視点だけでなく、ジャーナリストとしての伊藤さんの問題提起がなされていました。

上映後は、同じくジャーナリストである浜田敬子さんと伊藤さんとの対談が行われました。伊藤さんは、なぜ記録映画として残そうと思ったのか、撮影時や4年にわたる編集時の心情、ジャーナリストとサバイバーとしての意識が混在し日々変化する状況、第三者からではなく自分自身でナラティブを伝えることの大切さなどについて述べました。最後は、来場者にもマイクが渡され、伊藤さんをはじめとする方々のこれまでの活動があったからこそ、性暴力を受けた人びとが自分の身に起きたことを理解し、声を上げられるようになってきたことが話されました。性暴力に対する認識が曖昧で容認されやすい現在の日本の状況を変えるためにも、言葉を紡ぎ続けることの重要性が再確認されました。

報告者:江原優美子(東京大学大学院修士課程)・加藤穂香(東京大学大学院特任研究員)
写真:山本恭輔(東京大学大学院博士課程)