オリンピック報道に関するメディアへの提言

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<東京オリンピック・パラリンピックでのジェンダー表現をめぐる課題>

 今回の大会は、2021年2月の組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言をはじめ、開会式関係者による女性タレントの容姿蔑視、障害者へのいじめ、ホロコーストをコントにしていたことが明らかとなるなど、日本のジェンダー・人権意識の課題が「見える化」する機会となった。国際オリンピック委員会は『スポーツにおけるジェンダー平等、公平でインクルーシブな描写のための表象ガイドライン』を発表し、メディアに「ジェンダー平等で公正な描写」を求めた。また、今回の大会は、LGBTQを公表している選手の数が過去最多となり、トランスジェンダーの選手が生まれたときに割り当てられた性別とは別のカテゴリーで初めて参加した大会となったことから、『LGBTQ+ アスリートのメディアガイドライン』もまとめられた。

 MeDi(メディア表現とダイバーシティを抜本的に検討する会)では、研究者と報道に携わった実務者が集まり、今回の大会の報道について、ジェンダーの視点から検討する機会を持った。女性選手に対する「美しすぎる」「ママアスリート」といった外見や私生活に焦点が当てられたものや、テレビ番組で女子ボクシング選手に対して「女でも殴り合い、好きな人いるんだね」など、ジェンダーステレオタイプ(固定概念)からの発言もあった。

 その背景として、報道する側の体制が指摘された。スタジオ出演者のキャスターやゲストは女性が増えたが、実況はほとんど男性アナウンサーで、取材を担当するスポーツ担当の記者も男性が多い。また、そもそもオリンピックをどう伝えるかの意思決定層がほぼ男性、という伝える側の不均衡なジェンダーバランスは大きな課題といえる。

 また、オリンピックの歴史や開催の意義など、報道する人たちがオリンピック憲章を学んでおらず、国・地域ごとのメダルの数のランキングや、日本人が金メダルを取ったことだけを報道するなど、報道の在り方についても今後の報道に向け検証・議論が必要と考えられる。
以下、検討した内容から提言したい。

<提言>

● 報道に携わるメディア関係者はオリンピックの歴史や憲章、以下のガイドラインなどを学ぶ機会、研修を
「スポーツにおけるジェンダー平等、公平でインクルーシブな描写のための表象ガイドライン」「LGBTQ+ アスリートのメディアガイドライン」

● 報道・制作チームなど伝える側のリーダー、メンバーにジェンダー平等を 

● 多様な報道ができるよう、スポーツ部だけでなく他部と連携した発信を

● 今回の大会について「ジェンダー平等」の観点から検証を
報じた内容について、記事、写真、映像、取り上げられ方、表現など、コンテンツ全体がジェンダー平等の理念を踏まえた内容となっているか

● 大会後にジェンダーバランスについて検証できる仕組みづくりを

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